介護休業給付金とは、家族の介護のために仕事を休まなければならない人のために設けられた経済的支援制度です。同給付金は、介護休業後に手続きを行うことで、介護休業を開始した時の賃金(休業開始時賃金日額)に基づいて、給付金が支払われます。同給付金は、雇用保険に加入している被保険者が、配偶者や父母、子などの介護のために休業(介護休業)をする際に、一定の要件を満たした場合に申請によって支給されます。

 下記の2点を満たす介護休業で、支給対象となる同一の家族について、93日を限度に3回まで支給されます。1)負傷、疾病または身体•精神上の障害により、2週間以上常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な行為等)を必要とする状態にある家族を、介護するための休業であることです。

 この場合、「入院中の介護で介護休業が取得できるのか?」という疑問がわくこともあるかと思いますが、他者の手伝いを受けていても被保険者(労働者)本人が便宜を供与していれば、社会通念上、「対象家族を介護する」ということに該当します。対象となる家族に介護が必要な状態であれば、入院中、施設入所中などに関係なく、介護休業の対象となります。

対象家族は被保険者の「配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫」。2)被保険者が、その期間の初日及び末日とする日を明らかにして、事業主に申し出を行い、これによって被保険者が実際に取得した休業であることが必要になります。

※対象家族には、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者、養父母、養子、養父母を含みます。

 支給額の計算方法は以下のとおりです。同給付金の支給算出額は、休業期間中に賃金が支払われているかどうかや支払われている賃金の金額によって変わります。また、休業開始時の賃金月額は上限額及び下限額がありますので注意して下さい。

休業開始時賃金月額はの上限額は50万9400円、下限額は8万2380円(令和5年8月現在です。上限額と下限額は、毎年8月1日に変更される可能性がありますので注意が必要です)。

【休業期間中に賃金が支払われていない場合】

介護休業給付金=休業開始時賃金(日額)×支給日数(最大93日)×67%

但し、上記の計算式の支給日数は、以下のルールに基づき決定されます。

●休業終了日を含まない支給単位期間…30日

●休業終了日を含む支給単位期間…暦の日数(最後の支給単位期間期間の初日から休業終了日までの日数です)

【休業期間中に賃金が支払われている場合】

休業期間中に賃金が支払われている場合、支払われた賃金が休業開始時賃金月額の何%にあたるかで、給付金の算出方法が変わります。介護休業中は、月給の80%の金額を目安に支給されることとなっているため、月給の67%に加え総額で80%の金額になるよう計算されています。そのため、給付額が減る時は、休業中にもらえる給与が増えたときになります。

●賃金が、休業開始時賃金月額の13%以下の場合

介護休業給付金=休業開始時賃金(日額)×支給日数×67%

●賃金が休業開始時賃金月額の13%超〜80%未満の場合

介護休業給付金=休業開始時賃金(日額)×支給日数の80%相当額と賃金の差額

●賃金が休業開始時賃金月額の80%以上の場合

介護休業給付金の支給はなし

【元•ケアマネの視点】

上記の介護休業給付金は、介護休業の利用に際して受給できる雇用保険上の制度ですが、どのようなときに介護休業を利用するのが良いかというと、「仕事と介護を両立させるための準備期間(=介護をマネジメントする期間)」として利用するのが良いということです。具体的には、以下のようなことが想定されます。

a)在宅から老人ホームへの入居の準備(手続きが煩雑なためにじっくり取り組むために必要)

b)遠(近)距離介護から同居介護に移行する(上記と同じくまとまった期間が必要)

c)利用者(患者)の看取りが近くなっている