この制度は、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯の負担軽減のため、1年間(8月1日から翌年7月31日まで)支払った自己負担額の合計額に支給基準額を加えた額を超えた額に、被保険者が申請することで、高額医療高額介護合算療養費としてキャッシュバックされるものです。支給基準額を加えた額を超えない場合は、払い戻しはありません。

 支給基準額(500円)は、厚生労働大臣が事務の執行費用として定めた金額です。8月1日から翌年7月31日までの1年間でみるのは、所得区分の変更開始が8月1日からになるためで、介護負担割合証の有効期間と連動しています。

 ケアマネの実務では、在宅介護の場合、7月中旬あたりから各利用者宅をモニタリング(利用者やその家族の状態把握によって、ケアプランとの相違の有無を確認する)で訪問する際に、負担割合証の郵送の有無を確認し、届いてたらその写しをとらせて頂きます。これは、各サービス事業所が、利用者の負担割合に応じた請求をするときに必要となるためです。夏の暑い時期ですから、介護サービス事業所との連絡調整は結構大変です(笑)。話題を元に戻しますが、高額療養費や高額介護サービス費が、月単位の自己負担額を抑える制度であるのに対して、高額医療高額介護合算療養費制度は、年単位で自己負担額を軽減できる仕組みになっています。

 上記の合算療養費は、自己負担額の比率に応じて医療保険にかかる部分は高額介護合算療養費、介護保険にかかる部分は高額医療合算介護サービス費として、各保険者が支給決定と振り込みを行います。

元・ケアマネの視点

 事務の執行費用である支給基準額(500円)を超えない場合は、払い戻しがなされない点に注意が必要です。この点は、結構見落としがちになるため気をつけたいところです。